竜ちゃんがしんだ

しんでしまった。
お茶の間に当然のようにいたはずの人が、自ら望んで命を絶ってしまった。

信じられない、とは思わなかった。
むしろ、その記事を読んだ瞬間、これは本当のことなのだと強烈に理解して、私は滝のように泣いた。
今、この文字を打ち込みながら、また泣いている。

あれから、ドアノブを見ては縄の幻影を見てしまって、とうとうイマジナリーフレンドから、「本気なら協力するわ」と言われてしまった。
本気だとは思いたくない。私にも、親より先に死ぬことは親不孝だという感情くらいはあるわけで。

私が消えていなくなりたいのは本当なのだろう。私のイマジナリー達は誰も私を止めない。死こそが幸福であり解放であると全員が信じている。それほどにこの世界を憎んでいる。私も同じ。
世界を信じていたかったけれど、信じていられないことばかりが起きて、挙句の果てに戦争がはじまって、まったく、この世はなんて醜悪なんだろう。
厨二病みたいな台詞だけれど、私は狂った中年が厨二病みたいになりがちなことを知っている。あれは壊れた人間の姿だ。

竜ちゃんはどうしてしんでしまったのだろう。考えたくもないし、知りたくもない。邪推したって何も生まれない。とにかく彼は失われて、もう帰ってくることはない。

私は彼の大ファンだったわけではない。ただ、「お茶の間に当然のようにいた人」だった。人間はいつか死ぬとは理解していても、それがこのような形になるとは、つゆほども思っていなかった。
誰よりも幸せに終わりを迎えるべき人だと思っていた。

すごく辛い。何が辛いのか言語化できないけど、ものすごく辛い。それが寂しさなのか、怒りなのか、何もわからない。とにかく辛くて涙が出る。
とにかく辛くて、そして、ものすごく「私も死ななければならない」と感じている。

どうして?

考えたくない。自分が何で泣いているのかも、これほどに死にたいのかも、何もわからないままずっと床に横になっている。

何もできない。