生成AIと和解できなかった

人間の意思の介入しない奇妙な画像を見せられるようになって一年以上が経つ。
自分が何を美しいと思っていたのか、もはやすっかり忘れてしまった。
美しさとは一体なんだったろうか。

機械は人間が不在ゆえにいとも簡単に神になりうる。
津波のように押し寄せる新しい「正しさ」を私は受け入れられず、ただ己の感性ごと破壊されてしまった。
美しさとは一体なんだったろうか。

生成AIが出力した奇妙な美女グラビアを見て、人々はもう人間はいらないなどと言った。実際、人間は広告業界などからはもう淘汰されつつある。
彼らにはあれが人間に見えるらしいが、私には宇宙人が擬態しているようにしか見えない。奇妙な写真だ。関節が妙なところにあるが、きっと関節以外のところもグニャリと曲がるに違いない。
世の中はアレを人間として受け入れている。宇宙からの侵略に私だけが気付いて怯えているような、そんな気分になる。

美しさとはいったいなんだったろうか。
何もわからないまま2023年は終わりを迎える。
今年は本当に最悪だった。来年はもっと悪いのだろう。最悪は更新される。最高が更新されていくボジョレーヌーボーと同じだ。

いっそイルカが地上に攻めてくればいいのに。そんなの、すっごい奇妙でキテレツで、ハチャメチャにわかりやすい異常だから。